三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

高級ワイン「偽造品被害」の実態

世界的鑑定家が嘆く「日本の惨状」

2017年12月号

 日本のネット市場には偽造された高級ワインがあふれている。中でも多いのが「ブルゴーニュの神様」と言われるアンリ・ジャイエだ。専門家の間で疑わしいと指摘されてきた「セラー・デュ・ヤマカワ・コレクション」(神奈川県平塚市)から出たボトル三本を、世界最高の偽造ワイン鑑定家モーリン・ダウニー氏に鑑定してもらったところ、明白な偽物であると判定された。だが、これは氷山の一角にすぎない。

高級ワインの二〇%が偽物

 三本のワインは、アンリ・ジャイエのヴォーヌ・ロマネとニュイ・サン・ジョルジュの一九九〇年、ブルゴーニュの一九八九年。千葉県の愛好家A氏が二年前に、ヤフー・オークションで落札した。出品者は匿名だが、外観からしてヤマカワ・コレクションと推測していたという。落札額はそれぞれ十六万円、十三万七千円、七万四千八百円。A氏から借りた三本を携えて香港に飛び、ダウニー氏が十月に開いた偽造ワイン鑑定セミナーでチェックしてもらった。彼女は二〇一二年に米国史上初のワイン偽造犯として逮捕されたルディ・クルニアワンのワイン鑑定で、FBI・・・