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経済

《クローズアップ》寺畠正道(日本たばこ産業〈JT〉次期社長)

途上国「健康破壊ビジネス」のプロ

2017年12月号

 日本たばこ産業(JT)の次期社長に海外事業統括子会社、JTインターナショナルの副社長を務める寺畠正道氏が就任する。来年一月一日に同社史上で最も若い五十二歳での執行役員社長への就任となる。日本専売公社がJTに転換した一九八五年の初代社長、長岡實氏(元大蔵事務次官)から数えれば七代目、生え抜き社長では四代目となる。
 広く大手企業を見渡しても目立つほどの若手社長の抜擢は、JTトップの役割がたばこ税増税阻止、喫煙健康被害問題の矮小化といった〝重い〟国内問題からグローバル市場戦略など「普通の企業」の経営課題に転換したことを印象づけようという意図もある。
 JTの紙巻きたばこ国内販売数量は今年度、前年度比一三・四%減の見通しで、健康志向の高まりによって喫煙者の減少は加速している。今や同社のたばこ売り上げの六三・七%(二〇一六年度)が海外市場だ。JTにとって唯一の成長戦略はグローバル展開で、日本企業としては突出した巨大M&Aを仕掛けてきた。一九九九年の米RJRナビスコの海外たばこ事業買収に九千四百億円、二〇〇七年の英ギャラハー買収に二兆二千億円、一五年には米レイノルズ・アメリ・・・