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経済

西室泰三は 「死ねば免罪」でいいのか

日本に大損させた「米国の代理人」

2017年12月号

 数ある東芝本の中で大宅賞作家、児玉博の近著『テヘランからきた男 西田厚聰と東芝壊滅』は、不正会計を始めた西田元社長の一代記という独自の着眼が読ませる。西田を傍流の海外営業畑から社長に引き立てて隠然たる力を手放さなかった「東芝の妖怪」こと西室泰三元会長の秘話も興味深い。こんなエピソードが出てくる。
 ある時、社外取締役だった谷野作太郎元中国大使が、相談役の西室に呼び出された。
「谷野さん、僕を日本銀行総裁に推薦するよう福田康夫元総理に頼んでもらえませんか」
 谷野は福田と小学校で野球のバッテリーを組んだ六十年来の親友。西室はそのツテを使えと迫った。言葉を濁した谷野の驚きを、同書は「この人は何を言っているのか本当に分かっているのか。勘違いしている」と書いている。
 もちろん、西室は自分の図々しさを百も自覚していた。終生そのように「肩書コレクター」と揶揄される役職漁りを続けてきたからだ。 実際その後、菅義偉官房長官への猟官が功を奏し、七十七歳で政府が株を保有する日本郵政社長に就いた。ポストは臆面もなく獲りに行くものなのだ。
 東芝解体途上の・・・