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経済

中国「環境規制強化」に揺れる日本企業 

「反汚染闘争」現地法人の悲鳴と歓声

2017年12月号

 十月の共産党大会で、盤石の権力基盤を築いた習近平政権が勢いに乗って取り組もうとしているのが、環境問題である。水質、大気、土壌の汚染を三大問題と位置づけ、汚染物質排出企業には巨額の罰金や工場閉鎖、さらには企業の淘汰も厭わない姿勢。「反腐敗闘争」に続き、「反汚染闘争」で国民の支持を固める狙いがある。その波は日本企業にも押し寄せ、罰金、操業停止処分を受けた日本企業は「今年上期だけで五十社を超える」(ジェトロ関係者)。「環境」は今や日本企業にとって中国ビジネスの最大のリスクになる一方、環境規制のおかげで高収益をあげる日本企業も出ている。

日本の本社の無理解

「上海凸版印刷有限公司を大気汚染物質の排出違反によって、八十万元(一千三百万円)の罰金に処す」。今年三月末、上海市環境保護局のホームページにこんな行政文書が掲載された。日本の大手印刷会社、凸版印刷の中国現地法人の工場が環境規制に違反し処罰された、という公告だ。
 行政文書には法定代表人の日本人の名前や違反項目なども記されており、中国で凸版印刷に対する風・・・