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政治

菅義偉が収奪する「都民の一兆円」

「小池憎し」官邸と霞が関の共謀

2017年12月号

 二〇一八年度税制改正の目玉に急浮上した地方消費税の清算基準見直し。政府・与党は「東京都から税収を奪うためではなく、消費地に正確に税収を帰属させるための措置だ」(与党幹部)と強調するが、先の衆院選で全面対決した小池百合子都知事から身ぐるみ剝がそうという安倍政権の魂胆は誰の目にも明らかだ。小池包囲網を指揮する菅義偉官房長官と、凋落する小池氏との政治的駆け引きの中で、東京都民が損害を被る構図が鮮明になっている。
「一人当たりの地方税収の格差は最大と最小の都道府県で二・五倍。地方消費税でも一・六倍の格差がある」。約五兆円が都道府県に配分されている地方消費税の清算方式の見直しに、菅長官が改めて意欲を明らかにしたのは十一月十四日の記者会見でのことだ。菅長官は番記者の質問に「地方創生のための地方の財源確保が重要な課題だということを踏まえ、税源偏在の是正に積極的に取り組んでいく」と饒舌に答え、東京都に「宣戦布告」した。
 これに対し、危機感を募らせた小池都知事は同日、総務省を急遽訪れ野田聖子総務大臣と面会。愛知県、大阪府との共同要請という形で「大都市から税収を収奪することを意図し・・・