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政治

横田早紀江さんの「安倍への不信」

《政界スキャン》

2017年12月号

 底知れぬ悲痛に明け暮れた末、今や嘆きは無垢な困惑に結晶してしまったかのようだ。
「すぐ近くの国にいるのに、どうしてこんなに長い年月、助けてあげられないんだろう」
 中学一年生だった愛娘、めぐみさんを忽然と拉致されて四十年。母親の横田早紀江さん(八十一)が十一月十五日、長すぎる節目の年に記者会見で語った言葉は、聞く者の肺腑をえぐる。
 だが、抑制された表現の奥に、冴え冴えと研ぎ澄まされた刃の光もほの見えた。
「ありとあらゆることをして訴えてきました。政府は一生懸命、知恵を練って下さっていると思いましたが、四十年たっても何も分からない状況に、一体何だろうか、信じてよかったのかとの思いが家族にはあります」
「被害者には元気でいてほしいので、安倍晋三首相とトランプ米大統領がなんとか戦争が起きないように考えていただき、ぎりぎりのところでよい知恵が与えられて解決に向かってほしい」
 体の不調を押して同席した父親の滋さん(八十五)も何か訴えようとしたが、声が小さく早紀江さんにも聞き取れない。無念の表情で体を支えられながら会見場を後にした。・・・