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連載

新・不養生のすすめ9

危ない「ポリファーマシー」
大西 睦子

2017年12月号

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医療センター老年医療専門の薬剤師ドミニク・ベイリー氏は、コンピューターで、老年学科の入院患者の投薬リストを精査した。すると、高血圧や呼吸器の病気を長年患うロラ・カルさん(七十四歳)が、肺炎と呼吸困難で入院していた。カルテによると、カルさんは三十六の投薬を受けていた。「ちょっと衝撃的」と語るベイリー氏は、カルさんの薬の量だけでなく、処方に含まれる睡眠薬や鎮痛剤が、彼女の呼吸を抑えることを心配していた。これは昨年の米カイザー・ファミリー財団のニュース(KHN)の話だ。
 ギリシャ語で「ポリ」は「たくさん」を、「ファーマシー」は「薬」を示す。ポリファーマシーとはつまり「たくさんの薬」ということになるが、一般的に「医学的に必要以上の薬の服用」を意味する。薬の数に厳格な定義はないものの、多くの研究は、五種類以上の処方薬の服用とみなしている。ハーバード大学の研究者らによる全米大規模調査の結果、二〇一一〜一二年は、六十五歳以上の患者三九%が、五種類以上の薬を服用していた(表)。UCLA医療センター老年学科マリステラ・ガーシア部長はKHNで「ポリ・・・