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WORLD

サウジ皇太子を甘やかす「米中露」

国内外に火種撒く「慢心」の理由

2017年12月号

 サウジアラビアのムハンマド皇太子が、「腐敗摘発」を名目にした王族粛清やレバノン政治への直接介入で大きな関心を集めた。皇太子の手法は、中東関係者の間で「危なっかしい」との定評をとるが、皇太子が米国のドナルド・トランプ大統領の支持はもとより、中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領からも応援を受けていることは知られていない。傲岸不遜な三十二歳のどこに、国際政治の三主役に取り入った「爺殺し」の手練手管があるのだろうか。

中国政府から「熱烈支援」

 超大物の資産家アルワリド王子ら、主要王族を首都リヤドのリッツカールトン・ホテルに一斉拘束した余震が続く十一月中旬。習主席は電話で、皇太子の父親であるサルマン国王に、「中国の揺るがぬ支持」を伝えた。中東全体が動揺する中で、中国政府から「熱烈支援」の表明を受けたのである。
 サルマン国王は中国共産党大会で、党規約に、習主席の名前を冠した政治思想(習近平思想)が明記されたことに祝意を述べた。「サウジは湾岸地域における中国のパートナーであり、両国間の・・・