オランダ「温暖化水没危機」の克服術
「水と暮らす」驚きの都市改造
2017年12月号
国土の四分の一が海面下にあるオランダで、地球温暖化による水害をにらんだ、けた外れの都市改造が進んでいる。国土計画は、堤防で都市を守る「防水」ではなく、押し寄せる水を生活圏に組み入れて、「水と暮らす」という発想に転換したものだ。オランダ技術者には世界中から水対策注文が舞い込んでおり、国中が「温暖化こそ商機」と沸き立っている。
「避難は選択肢にならない」
オランダ国内でも最先端を行くのが、ヨーロッパ最大の港を擁するロッテルダム市だ。
初のモロッコ系として二〇〇九年に就任した、アフメド・アブタレブ市長は、「この市ではもはや、『避難計画』は選択肢にはならない。避難で全員を救えるわけではない。市民全員が『水との共存』を学ばなければならない」と語り、「ロッテルダム・ウォーターシティー(水都市)2035」という青写真を策定した。
ロッテルダム市はライン、マース、スヘルデの三大河川が北海に流れ込むデルタ地帯に位置する。市面積の九〇%が海抜以下という、オランダ国内でも屈指の脆弱地帯でもある。市内の道・・・
「避難は選択肢にならない」
オランダ国内でも最先端を行くのが、ヨーロッパ最大の港を擁するロッテルダム市だ。
初のモロッコ系として二〇〇九年に就任した、アフメド・アブタレブ市長は、「この市ではもはや、『避難計画』は選択肢にはならない。避難で全員を救えるわけではない。市民全員が『水との共存』を学ばなければならない」と語り、「ロッテルダム・ウォーターシティー(水都市)2035」という青写真を策定した。
ロッテルダム市はライン、マース、スヘルデの三大河川が北海に流れ込むデルタ地帯に位置する。市面積の九〇%が海抜以下という、オランダ国内でも屈指の脆弱地帯でもある。市内の道・・・