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WORLD

米国なき「世界無秩序」の時代

中国・ロシアの覇権がいよいよ拡大

2017年12月号

 米国のドナルド・トランプ大統領が、就任から一年もたたぬうちに安全保障・外交から地球温暖化、通商まで世界からの撤退を急ピッチで進めている。日本と欧州連合(EU)はようやく、「米国なき世界」に向けてそれぞれ独自の作業を始めたが、圧倒的な軍事力とソフトパワーを誇った米国の穴を埋めるのは不可能だ。
 この機に乗じて、中国の習近平・国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の二人の独裁者が、戦後を支配した米国主導の「リベラル世界秩序」破壊に突き進んでいる。「自国第一」主義が間もなく世界を覆い尽くすという悲観的な見方が強まっており、「米国なき無秩序世界」への傾斜が続いている。

米国務省のメルトダウン

 世界危機の象徴は、ワシントンDCのフォギー・ボトムにある米国務省である。
 トランプ大統領が「外交は自分がやる」と公言する中で、大幅な人員削減と機構縮小を命じられ、有能な外交官の退職、省内のモラール(士気)低下が止まらないのだ。あまりに急速なメルトダウン(溶解)ぶりに、ヘザー・ナウアート報道官は十・・・