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社会・文化

「農産物輸出」成長戦略の大噓

食糧安全保障「理解ゼロ」の日本

2017年11月号

「〝日本の食品〟輸出EXPO」と銘打って千葉・幕張メッセで、十月十一日から十三日にかけ、海外バイヤーを対象とする国内では初の本格的な輸出食品見本市が開かれた。日本貿易振興機構(JETRO)が共催、農林水産省も協力して約三百社が出展したが、イチゴを試食したイタリアのあるバイヤーは「甘すぎて歯ごたえがなく、使えない」と慎重だった。
 経済産業省の出身で、カメラや自動車など先人たちが苦労して海外市場を切り開いてきた歴史を知っている齋藤健農林水産相は「農業協同組合の職員は自分の足で歩いて農産物を売ったことがあるのか、海外に打って出ろ」と発破を掛けるが、利にさといバイヤーたちは日本産農産物の輸出の難しさを知り尽くしている。

インチキな統計

 二〇一六年の農産物輸出は、前年比〇・七%増の七千五百二億円となり、四年連続で過去最高を更新した。安倍政権が掲げる「二〇一九年までに一兆円」の目標が視野に入ったようにみえる。しかし、この統計は「偽造」というべき水増しだ。真珠、タバコ、アルコール飲料が含まれており、純粋な農産・・・