信頼される技術、製品、サービスを提供します―。神戸製鋼所が今年度策定した「ＫＯＢＥＬＣＯの３つの約束」なる企業理念。そこでいの一番に掲げられているのがこの「約束」だ。川崎博也会長兼社長によると、何でもこれは「社会に対する約束であり、グループ共有の価値観でもある」のだとか。
　そしてその約束を果たすためとしてご丁寧に「６つの誓い」なる行動指針までつくった。曰く「高い倫理観とプロ意識の徹底」、曰く「優れた製品・サービスの提供」、もう一つ曰く「（顧客、取引先、株主など）ステークホルダーの尊重」……何だかタチの悪い冗談か自虐ネタの類いにしか聞こえまい。
　総会屋への利益供与や政治資金規正法違反に加古川製鉄所での煤煙データ書き換え事件……過去幾多の“悪事”に手を染めてきた神鋼で、今度はその屋台骨を根幹から揺るがしかねない、大掛かりな不正が露呈した。主力事業であるアルミ・銅や線材・厚板・鉄粉などの鉄鋼製品で検査データの改ざんや意図的な検査省略が日常的に繰り返され、顧客の求める品質基準を満たしていな・・・