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経済

慢心ANAに「高転び」の予兆

提携先が相次ぎJALへ「乗り換え」

2017年11月号

 年間七百四十万人の観光客が訪れるハワイ―。日本からも恒常的に百五十万人が来訪する島々は、グアムのように北朝鮮からミサイル攻撃の標的にされることもなく、リゾート人気は揺るぎない。この“永遠の楽園”を舞台に航空各社の差し手争いが始まった。
 最初に名乗りを上げたのは全日本空輸(ANA)である。昨年一月、欧州エアバスの超大型機A380を二〇一九年度からホノルル線へ三機導入すると発表した。総二階建て・大型四発エンジンのA380は、座席数五百を超える文字通り世界最大の旅客機。ANAは「ハワイ路線の座席シェアを一気に二四%へ倍増させる」と息巻いていた。しかし、ある航空関係者はポツリとつぶやく。
「ANAが時代錯誤の超大型機の導入など決めなければ、ハワイアンをJALへ追いやることはなかったかもしれない」
 日本航空(JAL)と米ハワイアン航空は九月二十六日、コードシェア(共同運航)を含む包括提携に合意したのである。来年三月末から開始し、さらに共同事業(JV)にも踏み込む。JVとは、機材や乗務員、チケット販売を融通し合うコードシェアにとどまらず、・・・