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経済

一強アマゾンに「分割論」浮上

米国は「貪欲IT企業」を制御できるか

2017年11月号

「反トラスト法で巨大な問題を抱えている」「税金を払わない独占だ」―。
 米国のトランプ大統領によるIT大手アマゾンへの非難が止まらない。ただこれは「いつもの虚言」とは異なるようだ。アマゾン一強の現状を危惧する民主・共和両党の政治家も声を上げはじめ、NPOやシンクタンク、ウォール街にもこの認識は広がりつつあり、報道頻度も増している。大学もだ。新自由主義の理論的支柱であり、大企業擁護の独占理論を唱え、一九七〇年代から司法判断に大きな影響を与えてきたシカゴ学派からもアマゾンへの危惧に同調者が出ていると聞けば、見過ごす訳にはいかない。「時期尚早」との批判を覚悟で、ゲームの大転換の可能性についてみていこう。
 アマゾンは今や、昨年の米オンライン小売りシェアで四六%を占め、同国の二世帯に一つが年間九十九ドルの有料会員サービス「amazonプライム」に加入している。同社は株価を一千ドルに乗せ、一時ジェフ・ベゾスCEOはビル・ゲイツ氏を超えて富豪世界一位になった。
 既存勢力の散発的な反撃はあるだろうが、アマゾンは他を圧倒している。九月十八日のトイザラスの破綻も序章に過ぎ・・・