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国際「民間スパイ会社」が大繁盛

国家や富豪の「汚れ仕事」請け負う

2017年11月号

 今となっては何が出てきても不思議ではないが、今年一月の大統領就任前に「ドナルド・トランプ氏のセックステープ、写真がある」との情報を、米CNNが流した時には、世界が驚いた。この報告書の筆者が、本稿の主役である「民間スパイ会社」の一員なのである。
 クリストファー・スティール氏は英国の諜報機関「シークレット・サービス」(通称MI6)出身で、二十代でソ連最後の時期にモスクワに赴任し、二〇〇四年から〇九年まで、ロンドンのMI6本部でロシア・デスクのチーフを務めた。退任後、情報調査会社「オービス・ビジネス・インテリジェンス」を創業し、ロンドンの最高級オフィス街である「グローブナー・スクエア」に事務所を開いた。

トランプの秘密を暴いた元工作員

 スティール氏に、「調べてほしいことがある」との電話があったのは、昨年六月のことだ。かけてきたのは、米国の民間スパイ会社「フュージョンGPS」のグレン・シンプソン氏だった。彼は「ウォール・ストリート・ジャーナル紙」の元記者で、凄腕の調査報道で鳴らした後、この業界に入った・・・