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連載

本に遇う 連載214

大日本帝国と北朝鮮
河谷史夫

2017年10月号

 町内のみそっかすが鬼っ子と化して世間を搔き回している。核爆弾とミサイルを弄ぶものだから、熊公も八五郎も大迷惑だ。
 鬼っ子が何か仕出かすたびに、我らが宰相は鸚鵡のように「圧力、圧力」と繰り返し、当選祝いに参じた米国大統領やらあちこちの首脳やらに電話をかけたが期待ほどの利き目がない。国際政治における影響力のなさが哀れを催す。
 ことに選挙区山口の高級温泉宿へ招待し、「ウラジーミル」と呼んだくらいのロシア大統領とは差しで会って「圧力」を頼んだのに、つれない返事だったのは我らが宰相のために遺憾であった。毎日新聞社説に「十九回会談の結果がこれか」と揶揄されていたが、いざというとき頼りにならないのは真の友ではないと知るべきだ。
 鬼っ子は「米国との対話」を望んでいるのだから、ただ「圧力、圧力」と叫んでも始まるまい。圧力の耐え難さに鬼っ子が自爆したりしては元も子もなくなる。
 絶対的権威の指導者を戴き、世界の孤児となり、「ならず者国家」といわれる今の北朝鮮を見ていると、日米開戦前夜の大日本帝国を連想せずにおれない。米国からの圧力に「このままではジリ貧だ」と・・・