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経済

老舗旅行会社に迫る「再編・淘汰」の波

近ツリ・日本旅行に再び「統合観測」

2017年10月号

 インバウンド市場の沸騰が続いている。観光庁によると、今年の訪日外国人客数は九月十五日の時点で早くも二千万人の大台を突破。過去最高の二千四百三万九千人を記録した前年より四十五日も早いペースで、年間では三千万人に迫る勢いだ。庁内では「東京五輪が開催される二〇二〇年で四千万人の誘致を掲げる政府目標の達成が現実味を帯びてきた」との期待も高まる。
 だが、こうした盛り上がる訪日旅行需要をヨソに老舗大手旅行会社の業績はいま一つ冴えない。最大手のJTBでさえ一七年三月期連結決算は売上高が一兆二千九百六十五億円と前期比三・五%の減収。営業利益は百一億円にとどまり、同三七・〇%も落ち込んだ。楽天トラベルや「じゃらんネット」を運営するリクルートグループなど、国内ネット旅行代理店との価格競争が一段と激化。そのうえ「折角のインバウンド需要を十分に取り込めていない」(関係者)ためで、一八年三月期も営業利益は九十億円と前期比一一・五%の減益に沈む。
 無論、JTBとて手を拱いているわけではない。一六年四月には「訪日インバウンドビジネス推進部」を立ち上げる一方、海外旅行代理店などとの連携を強化・・・