三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

JR東日本「トラブル多発」の病弊

「停電対策」怠る経営陣の異常

2017年10月号

 通勤ラッシュが和らいだ朝の十時ごろ、首都圏のJR七路線が突如として停止した。九月五日のトラブルでは、最大四十五分間にわたって運行がストップし、四万人の足に影響を与えた。特に東京の交通インフラを支える山手線が止まったことで、代替ルートとなる地下鉄を含めた鉄道網全体が大きく混乱し、都市交通が麻痺した。
 今回のトラブルは、日本の経済活動を支える首都圏交通網が、極めて脆弱な状態のまま放置されていることを浮き彫りにした。JR東日本の無責任体質こそが、その元凶である。

バックアップ体制の欠如を「自白」

 蕨交流変電所―。埼玉県蕨市内を走る東北本線の線路脇にあるこの変電所が、JR東の電力供給網のなかで極めて重要な役割を果たしていることが今回の事故により明らかになった。仮にテロリストや愉快犯がこの変電所を攻撃すれば、東京の鉄道輸送に大きなダメージを与えられることが白日の下にさらされたのである。
 JR東の送電網は公開されていないが、実はその根幹部分は国鉄時代から変わっていない。別図に示したように、東京・・・