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「ロヒンギャ」が世界テロの火種に

「過激思想」の難民が拡散する恐れ

2017年10月号

「村は焼かれ、女子供はみんな山に逃げている。もう三日間、何も食べていない」。イスラム教の犠牲祭を翌日に控えた九月一日、ミャンマー西部ラカイン州に住むロヒンギャの男性は悲痛な声を上げた。「これではまるでロヒンギャが犠牲祭のいけにえのようだ」。
 ミャンマーでロヒンギャに対する迫害が止まらない。八月二十五日に急速に激化した国軍と「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)の衝突は、約四十万人の難民を生み出した。国際社会で政府の非人道的な対応を批判する声が高まり、アウンサン・スーチー国家顧問のノーベル平和賞撤回を求める署名運動も始まった。一方、人道危機の裏で、一部の専門家や援助関係者の間には、こんな懸念も高まっている。「世界中のロヒンギャ難民が過激化し、テロを起こすかもしれない」―。

難民社会にサウジの影響

 一連の衝突は昨年十月九日にさかのぼる。ARSAはラカイン州の国境警備隊の拠点三カ所を同時に急襲し、警官九人を殺害。多数の銃や弾薬を奪うことに成功した。このときの攻撃に参加した襲撃メンバーは四百人と見積・・・