世界文化遺産の候補に大阪府の「百舌鳥・古市古墳群」を推薦することを文化審議会が決めた。七月三十一日、大阪府庁内「正庁の間」で開かれた報告会で松井一郎知事が決定を伝えると、集まった地元議員や自治体、経済界の代表者から大きな拍手が湧いた。
　近畿二府四県のうち、唯一世界遺産がなかった大阪府にとっては悲願だった。過去三度の「落選」を経ての「四度目の正直」だけに喜びはひとしおだ。ただし、松井知事は報告会の中で「今日は万歳はなし。正式に登録された時に喜びを表現したい」と語った。これは喜びをかみ締めるというより、今後待ち受けるハードルの高さを自覚していることから出た言葉だ。
　この日の審議の後、文化審議会世界文化遺産部会長の佐藤信・東京大学大学院教授は「登録にはいまだ大きな課題を抱えている」と指摘。さらに「推薦後の国際記念物遺跡会議（イコモス）の審査・評価しだいでは見直しや取り下げも考えられる」とまで言及した。
　堺市の百舌鳥古墳群には日本最大の仁徳天皇陵古墳を含む四十四基、羽曳野市と藤井寺市にまたがる古市古墳群には応神天皇陵古墳など、墳丘の現存する四十五基の古墳が・・・