日本の科学アラカルト85
復権する「記憶媒体」 次世代磁気テープの開発
2017年9月号
我々の身近にあるスマートフォンやパソコンはもちろん、あらゆる機器がコンピュータによって制御されている。これらは猛烈な速度で情報を処理する「計算機」だが、演算装置と同時にデータを保持するための記憶装置が必要となる。情報記憶媒体(装置)として現状、主流を占めているのはHDD(ハードディスクドライブ)とフラッシュメモリだ。前者は磁気を利用した技術で、後者は半導体技術である。また、CDやDVDなどの光ディスクもいまだ健在だ。
パソコンが爆発的に普及した約二十年前、記憶媒体といえばフロッピーディスクであった。当時、すでに三・五インチが普及しており、五・二五インチ、八インチといった薄っぺらな大きなサイズのフロッピーを知る人は多くない。フロッピー以前からデジタル情報の記憶媒体として長い間使われてきたのが磁気テープだ。第二次大戦前から音声データ保存用として使われていたものが、戦後になって米国でコンピュータ用に応用された。
磁気テープより古い媒体として、紙に穴を打った「パンチカード」があった。こうしてみると記憶媒体の歴史は「淘汰の歴史」とみることができる・・・