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イスラエルとサウジが「準軍事同盟」を模索

「大転換」が始まった中東情勢

2017年9月号

「今やイスラエルとアラブ諸国の同盟ができあがっています」―八月上旬、カタール拠点の汎アラブニュース局「アルジャジーラ」の評論員は、絶叫風にこうコメントした。
 イスラエル政府が「テロリズムを煽り、支持している」として、アルジャジーラのエルサレム支局閉鎖に動いた。これを、カタール孤立の目的でサウジアラビアなど湾岸産油国も同様の措置をとったことになぞらえて、非難したのだ。
 冒頭のコメントは、「カタール包囲網」を糾弾する評論員の意図とは離れて、中東の国際関係の底流を言い当てていた。
 アラブ諸国とイスラエルが、米欧の北大西洋条約機構(NATO)を模した、準軍事同盟の結成に向けて、水面下で動き出しているのだ。イスラム教シーア派の盟主イランと、イスラム過激派「イスラム国」(IS)のテロリストが、「中東版NATO」の仮想敵国である。
 イスラエルと国交があるエジプト、ヨルダンならともかく、スンニ派盟主として「アラブの大義」を掲げてきたサウジアラビアにとっては、過去に例のない外交政策大転換になる。

各地で極秘軍事協力が進行中・・・