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経済

「トランプ相場」は大崩れ前

政治不安が経済リスクの「引鉄」に

2017年9月号

 八月十七日、全米の投資家、ディーラーが「コーンはどうなる?」との問いに終日、焦燥感を募らせた。海外ではそれほど知られていない、ゲイリー・コーン米国家経済会議(NEC)委員長のことだ。
「コーンが辞める」との噂が市場に飛び交ったことで、この日はニューヨークのダウ平均株価が二百七十四ドルと、過去三カ月で最大の下げを記録した。
「コーン辞任は、二〇〇の下げに値する」
「もしコーンとウィルバー・ロス商務長官が辞めれば、下げ幅は一千までいくだろう」
 同日夕の経済ニュース局では、アナリストたちがこんな分析を相次いで語った。
 その翌週の二十二日には、大手ヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエーツ」の創業者レイ・ダリオ氏が、SNSの投稿で「(トランプ政権内の)内紛は行き着くところまで行くだろう」「経済と市場に与える影響は、経済・財政政策より大きなものになる」と書き込んで、先行き悲観論の流れは決定的になった。ドナルド・トランプ大統領の就任から、積極経済政策への期待で膨らんだ「トランプ相場」も収束に向かうことになった。
 コーン委員長・・・