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社会・文化

自衛隊は尖閣を守れない

陸海空「統合運用」のお粗末な実態

2017年8月号

「Exhibition Army」(展示陸軍)。米軍関係者が皮肉交じりに評する対象、それは陸上自衛隊である。ミサイル防衛対処や対領空侵犯措置で海上自衛隊、航空自衛隊が恒常的に活躍する一方、陸自は災害派遣で一時的に脚光を浴びるばかりで、日頃から国防で実働している様子は見えない。だが、恒例の富士総合火力演習など「展示」では、高度な技量を発揮する。真剣勝負ならぬ居合いの妙。それが「展示陸軍」の英語に収斂されている。
 この隠語を払拭するかのように、陸自が総力を挙げて来年春に創設する部隊が尖閣諸島(沖縄県石垣市)など離島防衛を主任務とする「水陸機動団」だ。だが、尖閣防衛はこの特異な部隊だけでは果たせない。各自衛隊の連携の陥穽を内包したままでは、自衛隊の「統合運用」は絵に描いた餅に終わりかねないのだ。
 二〇二×年夏の闇夜、漁民を装う中国の「海上民兵」が尖閣へ不法上陸した。政府は中国の国家意思を確認できず、一義的な対応を海上保安庁に委ねざるを得ない。自衛隊を投入すれば「日本が宣戦布告してきた」と喧伝される。その後、中国海軍は周辺海域に艦艇を派遣し、水陸両用・空挺部・・・