中外製薬が抗がん剤で「研究不正」
「カネまみれ」医学界との癒着は続く
2017年8月号
製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤の臨床研究データを改竄したとして、元社員が薬事法違反に問われた事件の判決は無罪となる一方、司法はデータの改竄を認定して道義的な姿勢が世に問われた。だが、これは氷山の一角に過ぎない。実は、製薬会社が巨額の資金を研究機関に提供し、見返りの形で新薬の効果を過剰に喧伝するお手盛りは、今も密かに横行しているのだ。その一端が発覚した。中外製薬の抗がん剤「カペシタビン」(商品名ゼローダ)の効果を巡る研究―。第三者の研究機関が独自に試験を遂行したように装い、実際の効果が不確定なまま、あたかも効果てきめんの如く謳って売りさばく。患者のことなど、しょせんは二の次。どこまでも深い癒着の闇を追跡する。
いま医療現場は「エビデンスに基づく医療」が主流だ。エビデンスとは科学的根拠の意味で、医学専門誌に掲載された論文も有力な論拠となる。医師が治療方法を選択する際、患者にエビデンスを示さねばならない。逆に言えば、医学専門誌に新薬の効果が明記された時点で、その新薬は錦の御旗を得る。たとえ、その研究が、利益を最優先にする製薬会社のひも付きであったとしても、である。中外製薬・・・
いま医療現場は「エビデンスに基づく医療」が主流だ。エビデンスとは科学的根拠の意味で、医学専門誌に掲載された論文も有力な論拠となる。医師が治療方法を選択する際、患者にエビデンスを示さねばならない。逆に言えば、医学専門誌に新薬の効果が明記された時点で、その新薬は錦の御旗を得る。たとえ、その研究が、利益を最優先にする製薬会社のひも付きであったとしても、である。中外製薬・・・