「工業都市」というイメージがこびりつき、かつては「公害」がキーワードになっていた兵庫県尼崎市。関西エリアでもあまり印象のよくない同市が生まれ変わるかもしれない。
　尼崎市を「城下町にする」という気宇壮大な計画をぶち上げたのは、家電量販店ミドリ電化（現エディオン）の創業者、安保詮氏だ。一昨年十一月、私財十億円余りを投じて尼崎城天守閣を建築し、市に寄付するという計画を明らかにし契約を結んだ。
　この地には元和三（一六一七）年、五万石の大名として入封した戸田氏鉄が築城した尼崎城があった。その城は約三百メートル四方に三重の堀を持つ豪壮な城郭で、四層四階の大天守に二階建ての小天守が付属する堂々としたものだったとされる。場所は、現在の阪神電鉄尼崎駅のすぐ南側にあったという。
　江戸幕府は、豊臣氏を滅ぼして手に入れた大坂を守る拠点として重視。幕府の資金と技術を投じて尼崎城を築城させた。江戸時代には城下町として発展したが、明治維新後の廃城令によって、尼崎城は取り壊されてしまった。
　尼崎城復元プロジェクトを担当する尼崎市城内まちづくり推進課の馬場章吾・・・