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シベリアで発生「致死病原体」の恐怖

温暖化「凍土氷解」が生んだ異常事態

2017年8月号

 ロシア北極圏最大級の天然ガス資源埋蔵地、ヤマル半島で今夏、巨大な爆発が数百件、連続して起きている。地球温暖化でシベリアの永久凍土(ツンドラ)が急速に溶解し、閉じ込められていたメタンガスなどが放出されたのが爆発の原因だ。
 ヤマル半島の液化天然ガス(LNG)共同開発は、安倍晋三首相とプーチン大統領の昨年の日露首脳会談で合意しているが、シベリアでは温暖化が地球の他地域より急速に進み、同半島では致死性の高い病原菌が大気に放出されるなど、非常事態が頻発している。
 ヤマル半島(面積十二万平方キロメートル)があるヤマロ・ネネツ自治管区は、日本の面積の二倍以上の七十五万平方キロメートルに、五十万人強の住民しかいない。広大な無人の台地が広がる中で、爆発から七十~百キロメートルは離れていたと見られる村落でも、「遠くから爆発音が聞こえた」「空に閃光のような明かりが見えた」との証言が相次いだ。
 現地調査したモスクワの「石油ガス研究所」のワシリー・ボゴヨウレンスキー教授は地元メディアに対し、「爆発は地球温暖化が原因」との見解を即座に語った。
 同教授らのチームによ・・・