NTT「マイライン廃止」の傍若無人
国民が知らぬ間に進む「独占回帰」
2017年8月号
「マイライン」を覚えているだろうか。まだスマートフォンもSNSもなかった二〇〇一年五月、国民の最も身近な通信端末はNTT東日本・西日本の“黒電話”、すなわち加入電話であり、そこからどの電話会社の中継回線を使って通話するかを決める電話会社選択サービスが導入されたのである。
国民はマイライン開始前に、①市内、②県内市外、③県外、④国際の通話四区分ごとに電話会社を登録しなければならず、その獲得をめぐって熾烈な営業合戦が展開された。「百件、二百件の契約ノルマは当たり前」「親戚はもちろん、町内会、同級生まで頼って声を掛けた」と振り返る通信事業者の幹部は多い。電話の時代、マイラインは各社の死命を制するサービスだったのだ。
それから十六年後の六月二十八日、総務省の有識者会合「電話網移行円滑化委員会」はマイライン廃止を打ち出した。というのも、通話距離に制約されないIP電話が普及し、今や加入電話契約数は二千二百万件とピーク時の三分の一へ激減、その加入者も多くは携帯電話を使用している。NTT東西は公衆交換機が二〇二五年頃に寿命を迎えることから、加入電話のIP・・・
国民はマイライン開始前に、①市内、②県内市外、③県外、④国際の通話四区分ごとに電話会社を登録しなければならず、その獲得をめぐって熾烈な営業合戦が展開された。「百件、二百件の契約ノルマは当たり前」「親戚はもちろん、町内会、同級生まで頼って声を掛けた」と振り返る通信事業者の幹部は多い。電話の時代、マイラインは各社の死命を制するサービスだったのだ。
それから十六年後の六月二十八日、総務省の有識者会合「電話網移行円滑化委員会」はマイライン廃止を打ち出した。というのも、通話距離に制約されないIP電話が普及し、今や加入電話契約数は二千二百万件とピーク時の三分の一へ激減、その加入者も多くは携帯電話を使用している。NTT東西は公衆交換機が二〇二五年頃に寿命を迎えることから、加入電話のIP・・・