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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》 首相補佐官・和泉洋人

「ご意向」行政を主導する官邸「陰の主」

2017年7月号

 加計学園問題に関する首相官邸のキーパーソンは誰か―。
「全体のシナリオを書いて、全体を統括する立場にいたのは、和泉洋人首相補佐官だと思う」
 安倍官邸に弓を引いた文部科学省の前川喜平前事務次官は六月二十三日、日本記者クラブの会見で一人の黒子の名前を挙げた。明らかになった文科省文書では、萩生田光一官房副長官がキーパーソンとして浮かんでいる。にもかかわらず、前川氏は安倍晋三首相側近の実力政治家をさし置いて、一般には名前も存在もほとんど知られていなかった国土交通省の元技官を「行政を歪めた司令塔」と名指しするのだ。和泉氏は昨年秋、現職の前川氏を官邸に呼び、「総理が自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」と述べて文科省に圧力を掛けたとされる。だが、単なる「代弁者」にとどまらない「陰の実力者」と見なす理由を、前川氏は自らの体験に即して次のように説明した。
「萩生田副長官は頼りになる文教族(文科政務官、自民党文科選任部会長、衆院文科委員会理事などを歴任)なので、文科省としては(国家戦略特区の獣医学部新設で加計学園ありきの認定を阻むため)獣医師についての権限と情報・・・