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社会・文化

医学部は京大・阪大の「二強時代」

「人材と生産性」で東大に大差

2017年7月号

 かの東京大学でも、医学部医学科は特別な存在だ。偏差値で見れば、日本の大学の最高峰。英国の大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(QS)が六月に発表した世界大学ランキングで東大は日本の大学でトップの二十八位。前年から六つ順位を上げ、大半のメディアはその健闘ぶりを好意的に報じた。だが、その内実を因数分解していくと、最難関の医学部が意外にも足かせになっている現実が浮かび上がる。逆に、医学部に限って言えば、京都大学と大阪大学の勢いが東大を凌駕している。世間の表層的な受け止め方とは裏腹に、日本の医学部は今や、この関西の「二強時代」に突入しているのだ。
 東大の足を引っ張る「戦犯」―。東大関係者の中で、医学部はこんな隠語で呼ばれている。例えば論文数。東大、京大、阪大の各医学部を比べると、二〇一四年以降、この三大学の研究者を筆頭あるいは最終著者として、英国の「ネイチャー」と米国の「サイエンス」に掲載された論文は東大六本、京大十一本、阪大は七本。臨床医学誌の頂点に立つ米国の「ニューイングランド医学誌」と英国の「ランセット」に同様に掲載された論文は京大四本、東大と阪大は各一本ずつ。合計で京大十五・・・