新・不養生のすすめ4
小さくなっていく日本人
大西睦子
2017年7月号
最近、気がかりなことがある。それは日本人が小さくなっていくことだ。昨年七月の科学雑誌「eLife」に、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの約八百人もの研究者らが、世界保健機関(WHO)と共同で「過去百年間における世界二百カ国の人々の身長の変化」について報告した。研究者らは、一八九六年から一九九六年の間に生まれた対象者が十八歳以上になったとき、つまり一九一四年から二〇一四年の身長データを解析した。結果、日本人男性の平均身長は、一八九六年生まれの一五六・二センチ(世界ランキング百八十七位)が、一九九六年生まれは一七〇・八センチ(同百二位)。女性の平均身長は、一八九六年生まれの一四二・三センチ(同百九十五位)が、一九九六年生まれは一五八・三センチ(同百十二位)になった。これまでの研究で、身長が高い人は、一般的に、心臓病や脳卒中を患う可能性が低く、長生きする傾向が報告されている。戦後の経済成長とともに、日本人の栄養状態が著しく改善し、平均身長や寿命が延びた。
ところが日本人の平均身長は、一九六〇年代初期に生まれた世代で頭打ちになった。栄養状態が改善されて、遺伝的な潜在能力の上限・・・
ところが日本人の平均身長は、一九六〇年代初期に生まれた世代で頭打ちになった。栄養状態が改善されて、遺伝的な潜在能力の上限・・・