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韓国の「中国すり寄り」外交が加速

日米安保戦略の大きな障害に

2017年7月号

 六月八日、ホワイトハウスのオーバルオフィス(大統領執務室)。ティラーソン国務長官やマティス国防長官らから外交安保政策のブリーフィングを受けていたトランプ大統領が突然激高した。ちょうど、ティラーソン氏が韓国に配備する高高度防衛ミサイルシステム(THAAD)の現状を説明していた時だった。
 THAADは高性能レーダーや発射台六基からなる。韓国には四月末に機材が搬入されたが、配備先の慶尚北道星州の用地整備が遅れているため、レーダーや発射台二基だけを先行して稼働。整備が済み次第、残る四基も展開する予定だった。ところが、文在寅政権は五月末になって、「四基の追加搬入は聞いていなかった」と言いだした。結局、予定していなかった現地の環境影響調査を実施することになり、四基の稼働がいつになるのか宙に浮くことになった。
 当時の様子を伝え聞いた関係者によると、トランプ氏は興奮した様子で韓国をののしった。具体的な発言内容は伏せられているが「スラングも交えた非常に厳しい内容だった」(関係筋)とされる。米国が費用を負担する米軍の兵器であり、しかも在韓米軍だけではなく韓国も防衛する兵器でありな・・・