高田重久(タカタ会長兼社長兼CEO)
「殺人エアバッグ」で会社を殺す
2017年7月号
ひとつの商品の欠陥が売り上げ七千億円を超える大企業を一瞬にして葬り去る。民事再生法の適用を申請したタカタのケースは多くの企業経営者を震撼させた。六月二十六日の会見で会長兼社長兼CEOである高田重久氏(五十一歳)は「我々自身もなぜ問題が起きたのか不可解だ」と、なおも他人事のようなセリフを述べた。タカタの失敗はエアバッグの欠陥以上に事後対応の甘さ、無責任さによるとみるべきなのだ。その根源は経営者の資質にある。
説明責任から逃げまくっていた高田氏は、タカタの創業家の三代目。創業家が経営陣に残る大企業も少なからずあるが、タカタにおける高田ファミリーの存在感はケタ外れだ。東証一部上場企業でありながら、高田ファミリーの資産管理会社TKJと本人、母親の持ち株を合わせればタカタの五六%以上の株式を保有しているからだ。創業家が名ばかりではなく、資本の論理で会社を支配する大企業なのだ。
タカタの発展は自動車の安全規制とともにある。一九五〇年代に「乗員拘束具」と呼ばれたシートベルト生産を本格化、六九年に国内で運転席のシートベルト設置が義務づけられたことで弾みが付き、七五年の三点ベル・・・
説明責任から逃げまくっていた高田氏は、タカタの創業家の三代目。創業家が経営陣に残る大企業も少なからずあるが、タカタにおける高田ファミリーの存在感はケタ外れだ。東証一部上場企業でありながら、高田ファミリーの資産管理会社TKJと本人、母親の持ち株を合わせればタカタの五六%以上の株式を保有しているからだ。創業家が名ばかりではなく、資本の論理で会社を支配する大企業なのだ。
タカタの発展は自動車の安全規制とともにある。一九五〇年代に「乗員拘束具」と呼ばれたシートベルト生産を本格化、六九年に国内で運転席のシートベルト設置が義務づけられたことで弾みが付き、七五年の三点ベル・・・