マスコミ業界ばなし
2017年6月号
加計学園の獣医学部新設を巡る「文部科学省文書」について、水面下ではメディア間の熾烈な駆け引きが行われていた。取材で先頭を走っていたのは「朝日新聞だった」(政治部記者)とされる。世間の目が森友学園問題に向いていた三月時点で前川喜平・前文科事務次官に接触していた。文書に関しても「NHKと前後して手に入れていた」(同)という。しかしウラ取りに手間取り、社内での調整を進めているうちに、五月十六日の夜九時過ぎにNHKのネットニュースで第一報を打たれてしまった。NHKはその後、夜十一時からのニュースで文書について短く触れ、映像を流した。慌てた朝日は、準備していた記事を「翌日朝刊最終版のトップに突っ込んだ」(朝日関係者)のだ。これだけのスクープをNHKがなぜ大きく扱わなかったかについて真相は不明だが、「上層部の政権への配慮とみられている」(NHK記者)。
手痛いのは「同じ文書を手に入れながらスクープ競争に加わらなかった毎日新聞」(前出政治部記者)だ。同紙社会部の取材班は「民進党の調査チームと行動を共にしており、少なくとも(朝日の報道の)直前には文書を入手していた」(同)。しかし、「編集・・・
手痛いのは「同じ文書を手に入れながらスクープ競争に加わらなかった毎日新聞」(前出政治部記者)だ。同紙社会部の取材班は「民進党の調査チームと行動を共にしており、少なくとも(朝日の報道の)直前には文書を入手していた」(同)。しかし、「編集・・・