日本の美術館は「死蔵品」だらけ
「見せない・売らない」で宝の持ち腐れ
2017年6月号
五月の第三週、ニューヨークのオークション・ハウスでは、トランプ政権誕生以降初のメイン・セール「印象派・近代絵画」と、「現代美術」のイヴニング・セールが開かれた。現代美術では不安材料があったものの、バスキア作品を現代美術界の風雲児「ゾゾタウン」の前澤友作氏が約百二十三億円で購入するなど好調を維持。サザビーズは約三百五十億円、クリスティーズは約四百九十七億円の売り上げを一晩で叩き出した。
藤田美術館が「史上最高」セール
だが、世界アート市場で、今年前半の最大の話題といえば、三月十五日にニューヨークのクリスティーズで開催された「藤田美術館所蔵重要中国美術オークション」に尽きる。東洋美術のオークションとして史上最高であるばかりか、現代美術に勝るとも劣らない売り上げを叩き出した。
藤田美術館は大阪市都島区にある私立美術館である。一九五四年の創立で、東洋美術、特に日本の茶道具と仏教美術を中心とし、日本の私立美術館としては最大数の国宝・重要文化財の指定品を有している。
そんな歴史も所・・・