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シリア「日本人人質」はなぜ還らぬ

身代金は「二億円弱」まで下がったが

2017年6月号

 フリージャーナリストの安田純平氏がシリアで消息を絶ってから六月で丸二年が経つ。安田氏生存の期待が高まったのは、昨年五月、橙色の「処刑服」を着せられ、「助けてください。これが最後のチャンスです」と書かれた紙を持たされた写真がインターネット上に公開された時であったが、これを最後に、犯人側の要求も一切聞かれなくなって一年余が経過した。
 ただ、これはあくまで表面上の話。現地でこの問題を追っている記者達の間では、事実関係は絞り込まれている。安田氏を拘束しているのは反政府武装勢力のファタハ・シャム戦線(旧ヌスラ戦線)でその目的は当初より身代金要求。金額は百五十万ドル(約一・七億円)にまで下がっているが、日本政府が支払いを拒否しているため、打開の糸口がないのだ、という。
 現地で反政府武装勢力と常態的な接触のあるカタール赤新月社(赤十字)の仲介で身代金額も定まってきているというのに払う者がいないというのは、事実とすれば衝撃的な話だ。また、赤新月社は正式な要請なくして仲介はしない。日本政府はカタール政府並びに同赤新月社とは容易に連絡がとれる立場にあるのだから、同赤新月社が動いて・・・