ドイツ連邦軍にナチス時代への信奉が広がっていることが分かり、メルケル政権を震撼させている。中には「シリア難民」に偽装して、政府首脳を暗殺した上、犯行を難民の仕業に見せかけるという、悪質な陰謀も発覚した。軍内では三百人近くの兵士・将校が捜査対象になっている。
　今年一月下旬、ウィーン国際空港の身体障害者用トイレで、空港職員がピストル「ワルサーＰＰＫ」一丁を発見した。これが、すべての始まりだった。ピストルはセミオートマチックで殺傷力が高い。空港の警備当局者は訓練を受けたテロリストが隠したとにらみ、ピストルを元の隠し場所に戻した上、小型の警報機を敷設した。
　読みは的中した。数日後、若いドイツ人がピストルを取り出そうとしたところを、警備員が囲んだ。
　男は「偶然見つけた。自分の物ではない」と主張。警備当局は男の指紋をとり、釈放した。
　やがてドイツ側から、奇妙な打ち返しがあった。「指紋がヒットした。その男はシリアのアレッポ郊外から（ドイツ）バイエルン州に到着し、すでに難民申請も受理されている」。男は「ダビ・バンジャマン」と名乗り、キリスト教徒で、イス・・・