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WORLD

最凶テロリストの産地「中央アジア」

世界各地に出没する「狂信者」たち

2017年5月号

「お前の名前は?」
「アブロル・アジモフ」
 屈強なロシア治安当局者によって、地べたに押さえつけられた男が、あっさりと身元を明かす映像が、四月中旬、ロシアのテレビに大写しされた。またしてもキルギス出身者だった。四月三日に起こったロシア・サンクトペテルブルクの地下鉄テロ事件(十四人死亡)で、浮かび上がったのは、得体の知れない中央アジア出身のテロリスト網だ。
 最近ではトルコ・イスタンブールのナイトクラブ襲撃や、スウェーデン・ストックホルムでのトラックによる繁華街突入など、中央アジア出身者のテロ攻撃が連続しており、米欧各国の治安当局は警戒を強めている。
 ロシアの地下鉄テロでは、アジモフ容疑者の拘束の前に、八人の容疑者が逮捕されていた。いずれも中央アジア出身だった。
 アジモフ容疑者は、「俺は命令を実行しただけだ。直接手を下してはいない」と供述し、関与が疑われるイスラム過激派「イスラム国(IS)」と、実行犯グループの仲介役であることを暗に認めた。「背後に大掛かりな地下水脈がある」というのが、ロシア当局の見方である。

多言語に通じた凶暴な「プロ」・・・