習近平を「組み伏せた」トランプ
「対北朝鮮」米中の取引の行方
2017年5月号特別リポート
軍事力と外交を織りなして、二十世紀初頭のカリブ海外交を展開したルーズベルト大統領のドクトリンは「棍棒片手に猫なで声」と表現されたが、トランプ大統領がシリアと北朝鮮に向けて示した外交ドクトリンは「トマホーク片手に大声(ツイート)外交」と形容していいのかどうか。一貫してトランプ大統領批判を続けているニューヨーク・タイムズ紙などは四月十五日付に長文の社説を掲げ、シリア、ロシア、中国、健康保険改革、税制改革など十五項目にわたって大統領がついた嘘を挙げているが、トランプ大統領は四月六日、習近平中国国家主席と夕食会に臨んでいる最中に、シリアが化学兵器を使用したとして米海軍が巡航ミサイル「トマホーク」によりシリア中部の空軍基地を攻撃した旨を伝えた。攻撃はこの基地に集中し、ロシアに事前通告するなど外交的配慮もしている。計算された、力の外交の復活である。米中首脳会談最大のテーマは、核実験を続け、弾道ミサイル実験を繰り返し、米本土に届く大陸間弾道弾(ICBM)保持は時間の問題だと嘯く金正恩朝鮮労働党委員長をいかに抑えるかであった。
トランプ大統領は、ティラーソン国務長官を三月に東京、ソウル、・・・
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