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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》国際医療福祉大学

「医学部新設」凄まじき政治力とカネ

2017年5月号

 京成電鉄で都心から一時間半、千葉県成田市の公津の杜駅に降り立つと、真新しい瀟洒な大小の建物群が現れる。日本初の医療福祉の総合大学を謳い文句に、今年四月に新設された国際医療福祉大学(国福大)医学部のキャンパスだ。昨年三十七年ぶりに新設された東北医科薬科大学に続く、八十一番目(大学校を含む)の医学部だ。私大医学部では最安値の学費が売り物で、今年一〜二月の一般入試の偏差値は慶應大や慈恵医大と並ぶ最難関。百人の募集定員(国際枠、センター利用枠を除く)に対し、出願者数は二千七百六十九人で倍率は二十七倍にも達した。しかし、この新設医学部は高邁な理想と人気、難易度の陰で、異色の経営者と政官界、メディアとの持ちつ持たれつの関係が噂され、「医療政商」と揶揄する声も付きまとう。医療と福祉を掲げ急速に膨張した学園の謎を解き明かす。
 国福大医学部が耳目を集めた理由は、六年間で一千八百五十万円という低廉な学費だ。私大医学部の学費の平均約三千三百万円の半額強で、私大医学部では最も低い。
 この学費の安さが国福大医学部の謎と闇を探る糸口だ。医学部の運営は教授陣や設備への投資で巨費を要する。国・・・