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社会・文化

カネまみれの戦闘機「騒音利権」

巨額公共事業に巣食う「防音族」の実態

2017年5月号

 パンドラの箱を開けてしまったというほかない。防衛省が航空自衛隊新田原基地(宮崎県)の騒音に対する住宅防音工事の対象区域(コンター)を半減する案を示すやいなや、住民や自治体が猛反発。本来は、自衛隊と地元の良好な関係を保つ手段であるはずの防音対策が引き金となり「共存共栄」の歴史が反転しようとしているからだ。対立は抜き差しならぬ泥沼状態で、見直し案は宙に浮く。どうして、こんな事態に陥ってしまったのか。背景を探ると、騒音レベルの低下を理由に防音対策の予算削減を狙う財務省と、防衛省で防音工事をメシの種とする「防音族」の攻防が見え隠れする。
 防衛省が新田原基地の周辺に適用する住宅防音工事などの補償の大幅削減を検討している事実が判明したのは昨年十一月のこと。部隊編成の変更などに伴い、騒音レベルが高い戦闘機の飛行回数が二〇〇三年当時より四三%減少したとして、対象区域を基地周辺の約一万二千ヘクタールから約六千ヘクタール、対象世帯も約一万四千世帯から約九千世帯へ減らす。
 防衛省は千歳(北海道)、三沢(青森)、小松(石川県)など戦闘機部隊を擁する空自基地に加え、米軍嘉手納基地(沖縄・・・