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経済

黄昏「リコー」の哀れな末路

カネなし、技術なし、活気なしの「三重苦」

2017年5月号

 世界のコピー機市場でシェアトップを争うリコーの経営が急激に悪化している。不動の高収益商品と思われていたコピー機の新規市場に陰りがみえ、トナーなどアフターセールスもペーパーレス化の波に直撃されているからだ。売上高の七五%を事務機器に頼る一本足打法だけに事態は深刻。四月に就任した山下良則・新社長は「過去のマネジメントとの決別」を宣言するが、次の柱となる新技術、新商品はまったく見当たらず、「過去の遺産」にすがる経営を続けざるを得ない。衰退を加速させないことが精一杯だろう。
 国内のコピー機シェアではリコーはキヤノン、富士ゼロックスと激しいつばぜり合いを展開してきたが、キヤノンや富士ゼロックスが持つグローバルで、先進的技術のイメージはリコーには薄い。「販売のリコー」と呼ばれるように、大企業だけでなく、中小企業、商店まで小まめに御用聞きのように訪問するリコーの営業マンのイメージが強いからだろう。
 富国生命保険のセールスマンから身を立て、リコーの前身の陽画感光紙販売でのし上がった創業者、市村清の営業哲学が今日まで受け継がれ、会社の根幹になっているとみていい。開発、生産より営・・・