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経済

《地方金融の研究》十八銀行(長崎県)

公取に握られた「九州再編」の成否

2017年5月号

 金融庁が主導する地方金融機関の再編の大舞台となっている九州。バスに乗り遅れるなとばかりに合従連衡が続く中、その波に翻弄されているのが長崎県の十八銀行だ。県南部の長崎市内中心部にある同行本店の住所は同市銅座町一番十一号。県庁所在地である長崎市を中心とする県南部経済の心臓だ。
 本来、この四月から十八銀行は、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の一員として新たに船出するはずだった。九州エリアトップの地銀である福岡銀行を中心とする同FGに入ることで経営基盤強化を図る目論見が崩れた原因は公正取引委員会からの横槍だ。同FG傘下には同じ長崎県にある親和銀行があり、公取は県内での「寡占」を問題視したのである。
 十八銀に衝撃が走ったのは昨年十一月末。同行専務でふくおかFGとの合併交渉の中心にいた、森甲成氏が自宅マンションから飛び降りて自殺したのだ。公取や金融当局、FGとの間で板挟みになった末の悲劇とみられている。九州の金融業界に詳しい関係者が「次期頭取も確実視されていた」と惜しむ森氏の死をもってしても公取の態度は変わらず、年が明けて一月には合併を今年十月まで延期することが発表・・・