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経済

《企業研究》日本生命

異常な保険料値上げと今も続く「不払い」

2017年5月号

「結果的にウチが一番大きくなるとは」。日本生命保険の神奈川県内の支社に所属する営業職員の一人はこう呻いて販売の先行きに不安感を募らせる。
 今年四月を期して終身保険や年金保険、学資保険などいわゆる貯蓄性商品の一斉値上げに踏み切った生保各社。なかでも保険料率の引き上げ幅が際立ったのが、業界首位の日生だ。第一生命ホールディングス傘下の第一生命保険が二〜一〇%、明治安田生命保険が五〜一四%、住友生命保険が一〜二六%だったのに対し、二〜三〇%と大手四社で最大規模。四十歳で加入して六十歳までに保険料の払い込みを終え、死亡時に三百万円を受け取れる終身保険の場合、男性ならこれまで月額一万一千百七十八円だった保険料が一万三千六百五十三円と二二・一%アップ。女性だと同一万四百九十一円が一万三千三百五十円へと一挙に二七・三%も跳ね上がる。
 全く同じ条件下での事例を開示した、かんぽ生命保険の発表資料によれば、上げ幅は男性一一・五%、女性で一三・六%。その倍の水準にも達する大幅値上げとあって業界関係者も驚きを隠さない。そもそも事前の予想では「日生や明治安田など相互会社形態の生保は、第一や・・・