《クローズアップ》更田豊志(原子力規制委員会次期委員長)
原発存廃を左右する「二世研究者」
2017年5月号
父親を超える息子は満悦しているだろうか。しかし、それは全国の原発の死命を制してきた老獪な権力者の掌の人事にすぎない。
九月に五年の任期を満了する原子力規制委員会の田中俊一委員長の後任に、更田豊志委員長代理の昇格が内定した。「福島第一原発事故の教訓を決して忘れることなく……」と、殊勝に決意表明した更田氏にメディアは好意的であり、世間も田中氏の右腕として原発の安全審査を厳しく主導してきた人物と受け止めている。が、多くの原子力関係者は否定的だ。
「田中規制委がひと回り小さくなるだけのこと。その分、事務方の役人が主導権を握るだろう」
国会同意が必要な規制委人事案の焦点は、田中委員長の進退だった。政府は再任を模索したが、自民党が撥ね付けた。とりわけ細田博之氏、額賀福志郎氏ら商工族重鎮は東日本大震災後、わずか三基しか動いていない原発を憂慮、再稼働に冷淡な田中氏の退任を譲らなかった。そこで、“次善の策”として政府内に浮上したのが更田氏の昇格である。なぜなら、更田氏は規制委発足の際、当時の民主党政権から委員長へ招請・・・
九月に五年の任期を満了する原子力規制委員会の田中俊一委員長の後任に、更田豊志委員長代理の昇格が内定した。「福島第一原発事故の教訓を決して忘れることなく……」と、殊勝に決意表明した更田氏にメディアは好意的であり、世間も田中氏の右腕として原発の安全審査を厳しく主導してきた人物と受け止めている。が、多くの原子力関係者は否定的だ。
「田中規制委がひと回り小さくなるだけのこと。その分、事務方の役人が主導権を握るだろう」
国会同意が必要な規制委人事案の焦点は、田中委員長の進退だった。政府は再任を模索したが、自民党が撥ね付けた。とりわけ細田博之氏、額賀福志郎氏ら商工族重鎮は東日本大震災後、わずか三基しか動いていない原発を憂慮、再稼働に冷淡な田中氏の退任を譲らなかった。そこで、“次善の策”として政府内に浮上したのが更田氏の昇格である。なぜなら、更田氏は規制委発足の際、当時の民主党政権から委員長へ招請・・・