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政治

安倍と慶應医学部の「濃厚な関係」

「カネと要職」超優遇で歪む医療研究

2017年5月号

 学校法人「森友学園」(大阪市)に国有地を破格の価格で売却、岡山市の学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画への政治的な関与……。安倍晋三首相は学校や教育を巡る問題で追及されたが、その陰で日本の私立医学教育の雄である慶應義塾大学医学部と首相の濃密な間柄は、ほとんど知られていない。結節の象徴は、安倍政権が医学研究の司令塔として二〇一五年四月に鳴り物入りで創設した日本医療研究開発機構(AMED)のトップ人事である。初代理事長は、慶大医学部長を務めた末松誠氏。深い絆の源流は奈辺にあり、いかなる弊害をもたらしているのか。AMEDを媒介とする慶大医学部と首相の歪んだ関係に切り込む。
 AMEDは、日本の医療分野の研究開発を一元管理して基礎研究から実用化までを切れ目なく支援するのが目的。これまで文部科学省、厚生労働省、経済産業省各省に計上されてきた医療分野の研究開発予算を集約し、オールジャパンで医薬品創出や医療機器開発を差配する総元締めである。
 その理事長に末松氏が登用された際、医療ジャーナリストの間では「首相サイドの恣意的な人事・・・