「森友一過」で浮き彫りの政界荒廃
《政界スキャン》
2017年5月号
米軍のシリア攻撃から二日後、安倍晋三首相に電話したトランプ米大統領は、四十五分間の会談を終えるにあたり
「I miss you」
とささやいた。別れの挨拶の決まり文句だが、和訳のニュアンスが難しい。
「会えなくて寂しいよ」
だと、湿っぽくなりすぎる。男同士ならせいぜい
「おまえに会いたいな」
といった感じか。だとしても、これは恋人や家族の間でも使われるなれなれしい表現である。緊迫する北朝鮮情勢を協議した締めくくりには、いかにもそぐわない。もし安倍首相が
「So do I!」
(僕だって!)
と返していたらなおさらだが、実際の口上はどうあれ、気分はそんな感じだったようだ。会談後、側近たちに
「こんなこと言われたよ」
とうれしそうに披露した。
浮き立っている。
二カ月近く悩まされた忌々しい「森友問題」を振り切り、ようやく大好きな外交で自分らしさを存分にアピールできるぞ—。そんな解放感を隠せない。
と同時に、自分・・・