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連載

Book Reviewing Globe 395

「左派」こそ危険な中国政界

2017年4月号

 二〇一七年秋、中国共産党第十九回全国代表大会が開催される。習近平政権は二期目に入る。習主席にとってはまさに正念場であり、彼の指導者としての本質と力量がいよいよ問われることになるだろう。
 中国という国の治めにくさについて、習近平はかつてロシアのテレビのインタビューで語ったことがある。
「中国という国は統治するのがとても大変な国なのだ。長年、中国のさまざまな地方で働いてきた。東と西で中国はまったく違う。もうひとつ、この国を見るには、長期的な見方をする必要がある。だから、時に高台に上らなければならない。ただ、同時に、足はしっかりと大地を踏み固めつつやらなければならない」
 陝西省、湖北省、福建省、浙江省、上海市、北京市……地方経験は豊かである。
 一九六九年、文化大革命のただなかに、北京から陝西省の農村に下放(下郷)された。中国では、六八年から八〇年の間に、一千七百万人の若者が下放された。
 習近平は、下放時代に二つのことを学んだ、と述べている。
「現実を知った。何が現実的かを学んだ。事実から真実を探・・・