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米軍「北朝鮮先制攻撃」のシナリオ

やる気のトランプと日韓の「悪夢」

2017年4月号

 米軍が北朝鮮攻撃の準備を急いでいる。金正恩委員長の下で、弾道ミサイル開発、核実験、VXガス保有の誇示と、北朝鮮側の大量破壊兵器開発が急ピッチで進む中、米軍にとっては、北朝鮮の軍備増強を放置する期間が長いほど、日本や韓国への攻撃能力、在日・在韓米軍への脅威が増すためだ。
 北朝鮮との開戦には、日本と韓国の強い反対と中国の猛反発が必至である。このため、緒戦で北朝鮮が保有する弾道ミサイル、核兵器、さらに韓国や日本に対する陸・海からの攻撃能力を瞬間的に破壊する必要があり、軍事技術で圧倒的優位を誇る米軍にとっても、越えるべきハードルは高い。

狙ったのは「米海兵隊の岩国基地」

 米軍の懸念を高めたのは、三月に行われた四発の中距離弾道ミサイル発射だった。米ミドルベリー国際大学院の北朝鮮問題専門家、ジェフリー・ルイス氏は、「あれはミサイルの発射実験ではない。移動式発射台を使って、確実に標的を破壊するための射撃訓練だった」と喝破する。この時、三発が秋田県男鹿半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。北朝鮮・・・