トヨタ章男「専制人事」の内幕
抵抗勢力「粛清」で危うい独裁へ
2017年4月号
またしてもトヨタの驚愕人事だ。トヨタ自動車が二〇一七年三月一日に発表した役員人事で取締役の人数を現在の十一人から九人に減らし、代表権を持つ役員も現在の六人から社長豊田章男と会長内山田竹志の二人だけと三分の一に減らした。
「意思決定の迅速化と経営の監督機能強化、経営責任の所在をより明確にするのが狙い」と、トヨタ広報は説明する。が、「九人に減らした取締役のうち三人は社外取締役。パワーバランスは圧倒的に章男社長に有利となった」と、トヨタ担当の全国紙経済記者は話す。併せて社長経験者の名誉会長張富士夫も相談役に退き、名誉会長は章男の父である豊田章一郎だけになる。
「六年前とそっくりだ」と、前出経済記者は振り返る。章男は社長就任から二年後の一一年に、二十七人いた取締役を十一人に減らした。この時も意思決定の迅速化が理由だったが、実はこの人事こそ「大粛清」の始まりだった。〇八年にトヨタ初の販売台数世界一を達成した渡辺捷昭副会長(当時)は功労者にもかかわらず、社長経験者の「指定席」だった会長に昇格しないまま相談役に退いた。
「取締役を半分以下に減らしたのは渡辺・・・